アラスカ
1959年1月3日に準州より格上げされて、アメリカ合衆国の州の一つとなったアラスカが元々ロシアの領土であったこと、1867年3月30日にわずか720万ドル(2005年現在の価値で約9075万ドル)でアメリカによって買収されたことはよく知られている。その当時のロシアは国内の財政事情が悪化していたことと、金などの資源がまだ発見されていなかったアラスカは大して国益とならなかったことなどが、ロシアがアラスカを売却した理由といわれている。買収当時、アメリカ側の責任者であった国務長官のウィリアム・H・スワードは、アラスカ買収を「スワードの愚行」「スワードの冷蔵庫」と批判されたというが、ロシアもまさかアラスカがその後、ゴールドラッシュや石油の発見で賑わうとは考えもしなかっただろう。
とはいえ、それらはあくまで、アラスカに後からやってきた侵略者である白人の事情。アラスカには有史以来、イヌイットやユピック、インディアンなどの先住民が数多く暮らしてきた。彼らは、北海道のアイヌ民族と同様、自然を敬い、怖れ、自然と共に暮らしてきた人々だ。槍、弓矢、棍棒、罠などを使って狩猟生活をし、それらを食料、衣料、生活用品などに利用する。冬になれば、時には零下何十度という過酷な自然環境の中、例えばイヌイットなら雪や氷で造る「イグルー」で寝泊まりしながら、獲物を追いかける。白人がやってきて以降、先住民たちは否応なく白人たちの作ったルールおよび貨幣経済に巻き込まれ、今では伝統的な狩猟文化を守って生活している先住民も減少しているというが、現代的な物も利用しつつ、昔ながらの生活を守り続けている人々もいる。
そんな彼らの生活を包み込んでいるのはもちろん、アラスカの大自然だ。アラスカを愛し、アラスカに暮らした写真家、探検家、随筆家の故・星野道夫が、アラスカから、久しぶりに東京にやってくると、ビルや物のあまりの近さに眩暈を覚える、というような記述を残しているが、それも頷けるほど、全てのものが雄大で荘厳なのがアラスカの大自然だ。山、氷河、フィヨルド、雪原、森林、そして海。そこにはカリブー、ヒグマ、ヤマネコ、オオカミなど、37種の哺乳類と、130種の鳥類が生息している。冬になればオーロラが現れ、夜空を彩る。まさに手つかずの大自然が今も残っている。
今日はそんなアラスカの美しい風景、アラスカの雄大な大自然とそこに暮らす動物たち、自然に抱かれた町並み、人々の日常風景をお届けします。
アラスカの風景
広告