ヨーロッパ

スコットランドの風景

スコットランドとは?

現在イギリス在住、もしくは過去にイギリスに留学していた、住んでいた、またはイギリス好き、ヨーロッパの歴史好き、地理好き、ラグビー好き、ゴルフ好き、そしてスコッチ・ウイスキー好きの方などはさておき、多くの方は「スコットランド」と聞いても漠然としたイメージしか持っていないのではないだろうか。時折、ニュースなどでも話題になる独立問題に、ラグビーやサッカーなどのチーム名。「そもそも同じ国の筈なのに、独立とか、違うチームで出場するってなぜ?」と思っていらっしゃる方も少なくないに違いない。

結論から申し上げると、そもそも「イギリス」は一つの国ではないのだ。正確に言うと、イギリスとは「イングランド」のこと。少しややこしいが、国名として呼んでいる「イギリス」は、イングランドと、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドが集まった「連合王国」であり、イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」という。それを日本では昔からの慣例で、「イギリス」または「英国」を通称として用いている、という訳。

大小様々な国々がしのぎを削っていた群雄割拠の戦国時代が終わり、藩としてそれぞれの特色、独自の文化を持ちながらも、基本的には徳川の支配のもとに一つの国として長年平安であった日本。幕末~明治の頃に幕府軍と新政府軍として、対外的に見れば「内戦」が起きたものの、現在、いわゆる「独立問題」というものには日常的に接していないので、イメージしにくい方も多いかもしれないが、今も世界中の多くの国々は、独立問題を抱えている。

それは民族に起因することであったり、宗教に起因することであったり、地域により状況は様々なのだが、ヨーロッパでも例えば、スペインのバスクやカタルーニャは独立運動が今も盛んだし、オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にまたがるフランドル地方も自治意識が強い。

スコットランドもそんな独立意識、自治意識の強い場所の一つだ。前述したように、「イギリス」は、イングランド、ウェールズ、北アイルランド、そしてスコットランドの連合王国であり、その成り立ちに関しては長くなるので歴史の本に詳細をゆだねるが、日本がちょうど戦国時代から江戸時代にかけての頃、スコットランドは人口や経済で勝っていたイングランドに半ば併合された形で一つの国となっており、今も多くのスコットランド人は、イングランドを別の地域、別の国として見ており、例えば独自の通貨を発行(正確にはスコットランドの3行もイングランド銀行同様、スターリング・ポンド紙幣の発行権を有しており、独自のデザインのポンド紙幣を発行している)するなど、今も自分たちの文化に誇りを持っている人々が多いのだ。それゆえ、スコットランドの人々の中には、現在もなお独立への強い願望を持っている人が多数存在するといわれるし、それを象徴するかのように、ラグビーやサッカーなどは自分達スコットランド代表としてのチーム、となるわけである。

とはいえ、実際のスコットランドは、旅人にはそんな政治的な顔を見せることはほとんどない。人々は気高くも大らかで優しく、食べ物は美味しく、自然は素晴らしい。唯一、スコットランドのマイナスポイントは、寒くて雨が多い事ともいわれ、確かに夏に訪れると、それを実感させられることもあるが、それでも雨や曇りの天気ならではの雄大で迫力ある大自然に触れることもできる。

スコットランドのある「グレートブリテン島」の地質は大変多様性に富んでいることで知られ、例えば地質学的にいうと始生代からそれ以降のほぼ全ての地質時代に渡る岩石を露頭で見ることができる。(もっとも古いものはスコットランドの北西部で見つかっており、グレートブリテン島を南下すると共に岩石の年代も若くなっていく。)「近代地質学の父」として知られるジェームズ・ハットンもスコットランドのエジンバラ出身だ。自然景観的に見ても、スコットランドは、氷河に削られた沿岸部や、高地、山など、迫力があって荘厳な風景を見られる場所が多く、穏やかな田園風景の多いイングランドに比して、どちらかというと荒々しい雰囲気に満ちている。およそ4億年前にはスコットランドとイングランドは別々の島だったそうで、ロンドンから車や電車でスコットランドに向かうと、なるほどと思わせるような景色の移り変わりを楽しむことができる。

今日は、そんなスコットランドの長い歴史を感じさせる重厚で由緒ある建物や歴史的遺産のある風景とあわせ、壮大で素晴らしいスコットランドの風景をお楽しみ頂こう。

一生に一度は見てみたい、スコットランドの美しい風景。

スコットランドの美しい風景

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