アゼルバイジャン
日本の国土とほぼ同じ面積を持つ世界最大の湖「カスピ海」の西岸に位置し、北はロシア、南はイランに挟まれた場所にあるアゼルバイジャンは、面積約86,600平方キロメートル(世界113位)、人口約987万人(世界83位)の国。ユーラシアのコーカサス地方では最大の国で、国内最高峰バザルドュズ山 (海抜4466m)のある大コーカサス山脈が北西部に連なり、中央平原、カスピ海盆地、そして東側にカスピ海がある。主な公用語はアゼルバイジャン語(アゼリー語)。(アゼルバイジャン語は、トルコ系の言語「テュルク諸語」の一つで、アゼルバイジャンのほか、イラン北西部にも多くの話者が居る。)
アゼルバイジャンと聞いて、すぐに「バクー油田」の名が出てきた方は、歴史、または地理に中々に詳しい方に違いない。バクー油田は、1830年代から採掘が始められ、後にペルシャ湾で油田が発見されるまで世界の石油生産の半分以上を産出していた、往時は「世界一」とされた油田だ。その存在は、第二次世界大戦の行方を左右したほど。ちなみに、バクーは現在のアゼルバイジャンの首都の名でもあるが、ペルシャ語で「風が吹きつけた」という意味である「bād-kūbe(バード・クーベ)」からきているといわれる(諸説あり)。また、クラシック音楽を愛する方なら、20世紀後半を代表するチェリストの巨匠として名高いロストロポーヴィチの出身地としてアゼルバイジャンをご存知かもしれない。
アゼルバイジャンのある南コーカサス地方は、ヨーロッパと中央アジアの交通の要衝でもあり、アゼルバイジャンにも古くから都市が築かれ栄えてきた。一方で、その利便性、重要性の為、様々な民族の支配下におかれた。特に首都であるバクーは、サファヴィー朝やオスマン帝国などの侵略を受け、その支配下となった。町(旧市街地)には、今も11世紀~12世紀頃に建てられた「乙女の塔」をはじめとする歴史的な建造物、文化遺産が残っており、アゼルバイジャン人の固有の文化はもとより、アラブ~イラン~ロシアなど、様々な地域や民族の影響と文化がまじりあった景観を作りだしている。今日は、そんなアゼルバイジャンの風景を、バクー旧市街の町並みの風景と合わせてお届けします。
アゼルバイジャンの風景
バクー旧市街にある、11世紀から12世紀頃に建てられたといわれる「乙女の塔」。「城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔」として世界遺産になっている。
バクー旧市街
旧市街地の古い建物の隙間から見える、新市街の近代高層ビルとのコントラストは訪れる観光客の目を楽しませている。
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